ねぇ、どうしたいの?
「なんだよ?」
「さっき『うちの』って言ってたけど、一乃木さんは君のものじゃないよ。」
宮塚くんは、ふっと意地の悪い笑みを浮かべた。
それが直樹くんの勘に触ったようで、突然私の腕を引き、私の体を抱え込んだ。
「わっ、な、直樹く――」
「美桜はずっと俺らと一緒なんだよ。てめえに文句言われる筋合いはねーよ。余計なお世話だ。」
私は助けを求めて杏華ちゃんを見る。
杏華ちゃんは肩をすくめて、やれやれと呆れて見せるだけ。
「ふーん、そうなんだ。別にいいんだけど」
宮塚くんは意地の悪い笑みを浮かべたまま、私達に近づき、グイッと私の腕を引き寄せた。
「ずっとなんて続くとは限らない。油断してると、明日は俺のものかもね。」
宮塚くんの腕の中で、私はとんでもない言葉を聞いてしまった気がする。
私も直樹くんも杏華ちゃんも、言葉を忘れてしまったように何も言えなくて。
宮塚くんが体を離してくれるまで、私は放心状態だった。
意識を取り戻したのは、宮塚くんの手が、頭に乗せられたとき。
「なんてね。一乃木さん、今のは冗談だから。勘違い、しないでね。」
それだけ言うと宮塚くんは立ち去って行ってしまった。