猫と乙女
別れ話
あれは、ちょうど一週間前。ヒロに内緒でアパートを訪れた。



呼び鈴を鳴らそうとしたら、鍵が空いていたからそっとドアを開けて入った。玄関には彼のスニーカーと、ローヒールが並んでいた。



早くなる鼓動をなんとか落ち着かせ、忍び足で部屋のほうへと進んだ。



女の、激しい息遣いが耳に突き刺さるように入ってきた瞬間、私は踵を返した。



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