グラッドアイ
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だから今夜の俺は1人床に転がって、佐竹さんに自分の動きをチェックするよう手渡された、さして見る気もしないテレビドラマを眺めている。
ドラマの撮影も終盤に入り、俺の出番も終わるけれど、少しはまとまった休みを取れないもんかな。
彼女と何処か出かけてみたい。
2人のスケジュールを合わせること自体、大変なんだろうけど。
俺の恋人、美知佳(みちか)さんは、雑誌の編集者で副編集長の肩書きを持つ、いわゆる『出来る女』って奴だ。
初めて彼女を見た時、編集者として注ぐ真剣な力強い眼差しに、興味をそそられた。
そのうち、キリッとした瞳を巡らし『宜しくお願いします』と挨拶を交わす姿や、休憩中に皆と大きな声を上げて笑う、気取らない笑顔に好感を持つようになった。
美知佳さんの周りをうろつく俺に対し、彼女の友人でもあったうちの社長に「単なる好奇心だったら止めといて」と、釘を刺されたこともあったけれど。
「彼女の慰め位にはなるかもよ」と切り返した俺に、社長は少し驚いた顔をした。
それは、美知佳さんとよく帯同していたカメラマンとの間に、何かあったのだろうと直感した頃。
あのカメラマンに対して、つい溢れてしまっていた彼女の愛おしそうな視線、それが切ないものに変わってしまったから、容易に想像が付いたのだ。
俺の中で、仕事仲間の美知佳さんを女として見た瞬間。
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だから今夜の俺は1人床に転がって、佐竹さんに自分の動きをチェックするよう手渡された、さして見る気もしないテレビドラマを眺めている。
ドラマの撮影も終盤に入り、俺の出番も終わるけれど、少しはまとまった休みを取れないもんかな。
彼女と何処か出かけてみたい。
2人のスケジュールを合わせること自体、大変なんだろうけど。
俺の恋人、美知佳(みちか)さんは、雑誌の編集者で副編集長の肩書きを持つ、いわゆる『出来る女』って奴だ。
初めて彼女を見た時、編集者として注ぐ真剣な力強い眼差しに、興味をそそられた。
そのうち、キリッとした瞳を巡らし『宜しくお願いします』と挨拶を交わす姿や、休憩中に皆と大きな声を上げて笑う、気取らない笑顔に好感を持つようになった。
美知佳さんの周りをうろつく俺に対し、彼女の友人でもあったうちの社長に「単なる好奇心だったら止めといて」と、釘を刺されたこともあったけれど。
「彼女の慰め位にはなるかもよ」と切り返した俺に、社長は少し驚いた顔をした。
それは、美知佳さんとよく帯同していたカメラマンとの間に、何かあったのだろうと直感した頃。
あのカメラマンに対して、つい溢れてしまっていた彼女の愛おしそうな視線、それが切ないものに変わってしまったから、容易に想像が付いたのだ。
俺の中で、仕事仲間の美知佳さんを女として見た瞬間。