グラッドアイ

「ハル、もしかして酔ってるの？」

「うん、ベロンベロン」

俺は笑いながら美知佳さんの背中に手を回し、自分の体重を掛ける。

彼女は「おわ」っと色気の無い声を出して、ラグの上にベシャリと潰れた。


「美知佳さん、介抱してね」

触れ合いそうな彼女の唇に囁いた。


―――貴女がいるから俺になる。

人生なんて語れるほど綺麗に生きて来た訳じゃないけれど、真っ直ぐに生きて来た彼女と見合う男になりたいから、俺は明日も走り続ける。


だから今は、彼女の甘い肌の香りを感じるほど、深く強く抱き締めたい。

今宵も貴女にときめいて、その感触に溺れながら。



　　　--- End ---