この香りで惑わせて
出てきたのは、いつも真面目で性的な欲求なんてありませんってくらいの同期くん。
さらに驚いたのは、次に出てきた相手の子。
あまりの驚きに、隠れるのも忘れてばっちり目が合ってしまった。
「あれ? お昼に行ったんじゃ」
「う、うん。スマホ忘れちゃってさ」
あたしは、そそくさと去ろうとしたけど、彼女に腕を掴まれてそれもできなくなった。
「もしかして……今の聞こえちゃいました?」
「えっと、あの……」
さっき聞こえてきた声を思い出して、顔が熱くなるのを感じた。
「やだ、顔が赤いですよ? あなただって、未経験じゃないでしょ」