この香りで惑わせて



 そう言った彼女に、いつもの堅苦しいイメージはない。


 一つに結んだ髪型が彼女のイメージだったのに、今は髪が下ろされて乱れている。


 苦しそうなくらい留められていた首もとのボタンも、開けられて胸の谷間が見えていた。


 それに、なんだか色っぽい。


 二人で、黙って更衣室にはいると、きっちりと髪型をなおす彼女がちらりとこちらを見た。
 

「亜美さん。彼氏とちゃんとセックスしてます?」


「えっ! それは……」


「やっぱり。他人の喘ぎ声程度で真っ赤になるから、そうなんじゃないかなと思って。これ、試してみて下さいよ」


 彼女は、鞄の中から小さな小瓶を取り出すと、あたしに差し出した。





 

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