◇東雲庵◇2014〜2017◇
オマケ★芝浜の効果について
★オマケ★

落語心中について興味のない方はスルー推奨。

あ、私信。ミラ子はん。
ご多忙真っ最中だと存じておりますので、コメントは冬休み明けてからで結構ですからー!

、、、って書いてたら忙しい隙間を縫ってコメント沢山書き込んでくれてるやないかいっ!∑(゚Д゚)対応はやっ!おおお、恐ろしいお方やわ…!ジウさんも高山さんもありがとうございます。ノートのお返事は年が明けてからになってしまいそうです。ごめんなさい。



さて。芝浜云々のお話。
助六がね、身重のみよ吉と逃亡した先の四国で、追いかけて行った菊比古と二人会をやるんですよ。菊比古が「後生だからもう一度落語をやっとくれ、あたしのために」って口説き落として。で、結果的にそれが助六の人生最後の高座になるんですが。

そこで助六が演った演目が、「芝浜」という落語三大人情噺のひとつなんです。で、なぜそのセレクトなんだ?という事について考えてみたいと思います。っていうほど深く考えてませんけど(笑)わたし、ミラさんみたいに詳しくないし、落語。昇太さんの独演会を数回と楽太郎さんの六代目円楽襲名披露公演で笑点メンバーと桂一門(ざこばさんが神だった)のを聴いたことがあるくらいで。だから浅い知識に基づいてで失礼ながら、かなり偏った考察を申し上げます。(笑)

半ば私信のような内容で申し訳ない。

まず、「芝浜」についての概要。
芝浜は、飲んだくれで仕事嫌いの亭主の更生物語。女房にどやされて嫌々仕事をしに浜へ出かけた男は大金の入った財布を拾う。これはシメたと浮かれて飲めや歌えの大宴会をしたあくる朝、二日酔いの亭主に女房は「財布を拾ったのは金欲しさにあんたが見た夢だ。どーすんだい、支払い」と嘘を言う。その嘘をすっかり信じて心を入れ替えた亭主はそれから酒を断ち、人が変わったように働き者になる。さて時が経ち、女房に真実を告白され「もう酒を飲んだっていいんだよ」と促されるが、飲もうとした杯を寸前で止めて亭主が一言。「よそう、また夢になるといけねぇ」。

助六がどうして復活を賭けた公演で「芝浜」を選んだのかについて、作中では特に語られていない。助六の心情と作者の意図、両方から考えてみたら面白いかなと思います。何れにせよセレクトの理由については不明だけど、今際の際、助六が菊比古に向かって言うセリフに「きょう演った芝浜はお前(菊比古)がいなけりゃ、出来なかった。」ってのがありました。ってことは、助六の心情としてはあの芝浜は菊比古に向けたメッセージであったのかなとも読み取れます。更生を誓うというか。
わたし個人的には、芝浜の女房は、みよ吉ではなく、むしろ菊比古なのではないかと思っています。亭主を助六に、魚の行商(亭主の仕事)を落語に、それぞれ重ねて見るのならば、ですが。
もう一度落語に取り組もうと助六に思わせたのは、みよ吉ではなく菊比古だから。ええ、すみません。……偏ってます!

じゃあみよ吉の立場がないじゃないかとも思うのですが(ほんとだわ、わたしみよ吉の扱いが雑。だってー。みよ吉あってのストーリーの深みと人情味だとは思うけど、菊ファンとしては邪魔者でしかないんだもの笑)、助六がみよ吉に向かって放ったもうひとつのセリフ「お前をこんなに(酷い女に)したのは俺だ。お前と小夏のためなら俺は落語なんてやめて真っ当な仕事をするよ。」これが助六→みよ吉の心情の肝かなと。

落語(対→菊比古、小夏)にしても落語以外の仕事(→みよ吉)にしても、酒浸りの生活をやめて、外へ出て仕事をする、という点では同じですよね。だから芝浜は、菊比古、みよ吉、小夏に対しての、助六のケジメというか、決意表明だったのかなーと。なんか芝浜ってケジメっていうか分かれ目っていうか、大事な節目でかけるのに相応しい、っていう個人的な印象があります。だから。

作者の意図かどうかはもちろんわかりませんが、そうすると最後の「よそう、また夢になるといけねぇ…」って一言が、その後の助六&みよ吉の運命を経て、ものすごい効果を発揮してくるなーって感じました。ああ、結局、夢になってしまった…という遣る瀬無さを読者に持たせる。助六が芝浜をやったことによって、無常感が増すというか。

そうなんだよなぁ。力を尽くしてもどうしようもないことって、現実には起こり得るんだよなぁ。。

落語って、やっぱりお江戸〜明治の庶民の風俗が反映されてるので、登場人物たちみんな、欲望に正直で人間くさいんですよね。出来事としても、救いがないまま終わったり。人って、人生って、どうしようもないけど、でもそこが面白いし愛おしい。そして人は人と交わってこそ救われる、みたいな。そんな落語の持つ魅力と同じ質のものが『昭和元禄落語心中』にもある気がします。

どうしようもない。
だから、愛おしい。

(ジウさん、それ!菊さんが最後にみよ吉の涙を舐め取るシーンな!そうだ欲だ、漏れ出た菊さんの欲!合点!ありがとう!←落ち着け)

ダラダラと書きながら納得したり気づいたりしてて、まとめていないので読みにくかったらごめんなさい。

この世界の片隅に、には結局触れられずに終わりそうです。(苦笑)オマケが長かった(笑)

追加のコメントは結構です。
みなさま、大晦日までお付き合いありがとうございました。

良いお年をー!
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