茉莉花の少女
「もうすぐあの花が咲くから、そのときにまた見に来てね」

「もうすぐってまだ夏ですよ? 秋じゃないんですか?」

 彼女の誕生日が十月だったからだ。

「でも六月や七月辺りから咲き出すの。で、十月か十一月までは咲いているんだって」

「十一月」

 その言葉にドキッとした。

「もしかしたら久司君の誕生日まで咲いているかな」

「無理でしょう。だってほぼ十二月じゃないですか」

「でも、室内でうまくいけば冬場も花を咲かせることができるんだって」
< 131 / 362 >

この作品をシェア

pagetop