茉莉花の少女
「残念。でも、私の言葉はね、本当なんだよ」

「言葉って」

「久司君にかわいいって言われたら、他の誰かに言われるよりもうれしいってこと」

 そう言うと肩をすくめて微笑む。

 僕の戸惑いも気にならないのか、彼女は言葉を続ける。

「どう?」

「どうって、そんなことあるわけないじゃないですか?」

「でも、本気だから」

 彼女はそれだけ言うとスキップをするような軽い足取りで家の中に入った。

 彼女は僕を手招きする。

 僕は靴を脱ぐと、彼女の傍らまで行くことにした。
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