茉莉花の少女
 君が幸せそうに微笑んでいたから。

 そのときもしかして気づいたのかもしれない。

 君といると、あきれることはあっても不快感を味わうことはなかった。

 他の人に興味を感じることはなかったが、彼女に対してはいろいろ言ってみたくなるということ。

 そんな気持ちは今までなかった気がする。

 彼女の手がすっと伸ばされ、僕の頬に触れた。

 彼女の手があたたかい。

 そのあたたかいぬくもりが僕の頬を包み込んでいた。
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