茉莉花の少女
「この三日間」

 ホテルの部屋に突然声が響く。

「何ですか?」

「あいつの傍にできるだけいてやってくれ」

 突然のことに驚き、彼を見た。

 彼はそれ以上は何も言おうとしなかった。

 そのとき、僕の携帯が鳴る。

 発信者はもちろん彼女だった。

「今から出かけよう。お兄ちゃんにも伝えておいてね」

「分かった」

 僕は電話を切ると、優人さんを見た。

 彼はベッドに腰掛けたまま、ボーっとしている。
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