茉莉花の少女
 二人は以前もここに来たことがあるようので、土地勘はあるのだろう。

「どこに行く?」

「わたしの生家だったところ」

 その言葉で思い出したのは、彼女が養子だと言うことだ。

 だから当然、彼女にも家があるのは当たり前だった。

 ある一つの疑問が頭を過ぎる。

「聞いていい?」

「お父さんもお母さんも事故死なんだって」

「そうなんだ」

 僕が何を聞きたいのか分かったのだろう。

 疑問を投げる前に、彼女が答えてくれた。

 彼女はうなずいていた。
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