茉莉花の少女
 そのとき、我に返るが、彼女の腕を離すことはなった。

「嫌なら離すよ」

「いいよ。うれしいから」

 振り向いた彼女の頬はわずかに赤味を帯びていた。

 彼女の顔を見た正直な感想は、彼女でもそんな顔をするのかということだった。

「ちょっと得した気分」

 そう言った彼女の表情がますますうれしそうで、手を離せなくなっていた。
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