茉莉花の少女
「車で送ろうか?」

「いいですよ。そんな」

 最初は怖い人かと思っていたが、そうでもないのだろう。

 まだ、彼のことについて詳しく知っているわけでもないが、今まで僕が接した大人の男の人の中では一番いい人のような気がした。

 年上の男というと母親の恋人や父親しか知らないけれど。

「どうかしたのか?」

 彼は眉間にしわを寄せて、僕を見る。

「親切な人だなって思って」

「そんなくだらないことを言ってないで、ごはんでも食べてこい。タオルとかそこにあるから勝手に使え」
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