茉莉花の少女
 そのまま、家を飛び出すように出た。

「久司君、どうかしたの?」

 茉莉が僕に触れた。

 そのとき思い出したのが、茉莉に昨日キスをしたことだった。

 母親と同じ。

 そう言われて、身震いした。

 あんなになりたくないと思っていた母親に似たくもなかった。

「久司君?」

 彼女が僕の腕をつかんだ。

「あ、ごめん。あの」

 何を言っていいのかも分からない。

「学校、行かないと」
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