茉莉花の少女
 僕が家に着いたときだった。

 鍵が開いていた。そのとき、嫌な予感が過ぎる。

 彼女が寝ていることを願っていたが、居間に人影がチラつく。

 彼女はテレビを見ていた。

「あんたが朝帰りね」

 彼女は振り向きもせずに言った。

 僕が部屋に入ろうとしたときだった。

 彼女の声が響く。

「結局、あんたもわたしの子供だったわけだ」

 その言葉に吐き気を覚えた。

 部屋に入ると、必要な教材をとり、鞄に詰め込む。



 心臓が激しく動いているのがわかった。
< 220 / 362 >

この作品をシェア

pagetop