茉莉花の少女
 彼女を家まで送ったときだった。

 彼女は僕の腕をつかむと、家の中まで連れていく。

 そして、鍵を閉める。

「どうしたの?」

 それをずっと聞きたかったのだろう。

「昨日、キスして悪かった」

 彼女は僕の言葉に悲しそうな顔をしていた。

 僕がそうさせたのは分かっていた。

 胸が張り裂けそうなほど痛い。

「久司君は嫌だった?」

「嫌じゃないけど、同じにはなりたくなかった」

「同じってあなたのお母さんと?」

 やはり彼女は勘がいいのだろう。

 僕が何を迷っているのかに気づいたのだろう。
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