茉莉花の少女
 よほど危なっかしい切り方をしていたんだろう。

 それは妨害というより、妹を庇おうとしたんだろう。

 想像できるのが全てを物語っている。

 本当、よくやるなとぶつぶつ言う彼女を横目に見ながら思った。

 でも、嫌な気はしなかった。

 僕はそのおかずを口に運ぶ。少し調味料が多い気がしたけど、そのことに触れないでおいた。

 誰かが僕のために作ったごはんを食べたのはもしかすると、生まれて始めてだったのかもしれない。
< 64 / 362 >

この作品をシェア

pagetop