茉莉花の少女
「いや、何で彼女ってあんなに変人なのかなってずっと考えていた」

 無邪気ながらも計算をしていそうで、実際は計算など全くしていない。

 それでいてとにかく目立つ。

 料理もできないくせに、わざわざ僕のために作ってこようとする。

 前日から準備をしてまで。

 問いかけの代わりに戻ってきたのは笑い声だった。

「茉莉先輩が変人なんて、そんなことあるわけがないじゃない」

 そんなことを言うのは三田や、彼女を好きな人だけかと思っていた。

 彼女は笑うのをやめると、寂しそうに笑う。

「素敵な人だと思うけど。たまに完璧すぎて嫌になるけど。でも運動は苦手みたいだね」


 完璧なんて程遠いと思うが。見た目限定ならともかく。

 料理は、まあがんばっているみたいだから触れないようにして、今朝だって意味なく植物の観察をしているような女だ。
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