こんな世界でも君となら…
「それじゃ、俺行くから」
そう言って踵を返し出て行こうとする彼。
「えっ、ちょ、まっ…」
何故だか行ってほしくなかった。
はじめてあんなコトを言ってくれた彼に
興味を持ったんだ。
そう、だから私はフェンスを降りようとしたはずだった。
ズルッ
なのに、何故浮いてるんでしょうか。
いや、浮いてるというか浮遊感?
いつの間にか体は宙に投げ出されていて、
あぁ、手を滑らせてフェンスから落ちたんだなと今更分かった。
あはは、結構高かったしヤバいかな?
でもフェンスの向こう、つまりさっきまで私が落ちようとした方じゃなくてよかった。
なんて思ってると、
ドタンッ
「痛ったた…」
「…っつー」
多少あちこちに痛みはあるものの、思っていたような痛みはなく。
なんか冷たい地面の上に倒れてるはずなのに、
暖かいなにかの上に乗っているような…。
というか、私のほかに声が聞こえたっていう
か…そりゃああの彼の声だってのも分かってる
ケド。
その声がやけに近い距離から、耳元から聞こえたのはなぜ?
いや、まさかのまさか?
わ、私やっちゃった…?
う、嘘嘘、どうしよう…!
恐る恐る瞼を開けると、
固まった。
本日二度目です。