ドラゴンの鍛冶屋
ドラゴン王が、大きな声で言いました。

「なぁに、姫がどうしても、人間のむらに行きたいって言うもんだから、魔法で人間の女の子に変身させたのさ」

ドラゴンばあさんが、ドラゴン王に話しました。

「…いくらコワイ人間だって、こんな小さな女の子を殺したりはしないからね」

ドラゴン達が、おそるおそる姫のもとにやってきました。

「おとうさま、おかあさま。私、東のむらに行って、かんむりをなおしてもらってくるわ!」

ちっちゃな姫は、おっきな声でドラゴン王達に言いました。

「…わかった。それでは、かんむりは姫にまかせよう」
ドラゴン王はそういうと、こわれたかんむりを姫に手渡しました。

「ただし、なにかコワイことがあったら、すぐににげるんじゃぞ?」

「うん、わかった。ありがとう、おとうさま」

姫は、かんむりを受けとると、さっそく東のむらに向かうことにしました。

「姫や。一人で行くのはあぶないから、お供をつけてあげよう」

ドラゴンばあさんが、ふところから取り出したのは、小さな指輪でした。

「エラモト…オティビロマモイ…アウィバイ!!」

ボゥン!!

ドラゴンばあさんの持っていた指輪から、けむりが吹き出しました。

あたりは、けむりで真っ白です。
< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop