ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛



笑って、いる。彼が、楽しそうに。それは当たり前のことなのに、どうしてか心が痛む。



「…し、失礼します」

「?…あぁ、原さん」

「コーヒーです、…どうぞ」

「ありがとうございます、いただきます」



ぎこちない笑みでコーヒーをテーブルに置くと、にこりとお礼を言う女性。その表情が眩しくて、すぐにその場を立ち去った。



特別、なんてそんなわけがなかった。ただ私が見慣れていなかっただけで、彼は誰の前でも笑っていた。勘違い。調子に乗った。


…恥ずかしい。

自分の心の明らかな落胆に、どんな顔をしていいか分からない。



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