ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛



「いてっ!何するんだよ青井!」

「…すんません、つい」

「つい!?何がついだコラ!!」



…そういう目で見てんじゃねーよ。

顔には出さずに、心の中でボソリと呟くと頭の中には先ほどの浴衣姿の彼女を思い出す。

けれど、記憶の中の彼女は悲しい眼差しで俺を見るばかりで、余計心を苦しくさせた。



「亮ー、まだ勝ち残ってるー?」

「あ、雛子」



そうしているとひょこっと姿を現したのはホカホカと湯気を漂わせる湯上りらしい阿部さん。いつもはおろしている髪も頭の上で一つにまとめ、長く浸かっていたのか、その肌は熱気に赤らむ。



「ついさっき負けたよ、青井に」

「へー、青井くん卓球上手いんだ?」

「…まぁ、そこそこ」



そう話しながらふと気付く。阿部さんの隣にも後ろにも誰の姿もないこと。


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