ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
私たちの働く映像制作部では、毎年一度春に班変えがある。
その時の人員により増減はするものの、大体1つ5人の班が5班。普段の仕事も班ごとの作業部屋で行うし、数人で動く時も何事も班で分かれて行う。だから班編成は意外と大事なことでもある。
「で?どんな班編成?」
「えーと、私は3班。亮は1班だよ、霜山さんの班」
「げー…俺霜山さん苦手なんだよな…」
「私は?」
「美紅は…あった、5班だ」
そう指差す紙面には、『原 美紅・5班』の文字。
5班…矢口さんの班だ。矢口さんといえばリーダーシップのある先輩。頼もしいなぁ…。
「原の班いいなー、俺の仲いい奴ばっかり集まってる」
「あ、本当だ。矢口さんに、藤本さんに…青井もいる」
「……」
『青井』
雛ちゃんから発せられたその名前に私は一瞬固まり、そんなまさかと紙を見直す。
ところがそこには間違いなく、『青井友樹・5班』の文字…。
「青井くんと、同じ班…」
「美紅、どうかした?」
「お、何だ原。もしや青井と同じ班で感激!ってか?」
ニヤニヤとからかって背中をバシッと叩いた亮さんに、私はがっくりと肩を落とし絶望するように顔を手で覆った。
「美紅?」
「…その、逆…」
「へ?」
「…青井くん、苦手…」
感激、なんて真逆にもほどがある。
私は青井くんが苦手です。