ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「…あ、」
「…?」
「睫毛、目に入りそう」
すると、そう言ってスッと顔へ伸ばされる手。その細い指先はそっと私の目元へ触れ、小さな睫毛を一本つまむ。
「…よかった、取れた」
「あ、ありがとうございます…」
「どういたしまして」
躊躇いなく触れられるあたりが、異性慣れしてるなぁ。ニコニコと至って自然なその様子に、思わず感心してしまう。
その時、今朝同様にフッと頭上に感じる気配。
「…失礼します、コーヒーです」
「あ…青井くん。ありがとう」
それはコーヒーを運んで来てくれたらしい青井くんで、彼は特別愛想を振りまくわけでもなくトレーに乗せてある紙コップを私と桐谷さんの前に差し出した。