ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛



同じく帰路につく人々の中でも、頭ひとつ抜けている大きな彼。それに加えどこか近寄りがたい雰囲気もあり、余計に目を引く。

青井くん、目立つなぁ…。



「…、」



見つめていると視線に気付いた様子の彼は不意にこちらを見た。向けられる、ぼんやりとした素っ気ない瞳。

いつもなら何も言えないけれど、さすがにあんなことをされた後では一言くらい言ってやりたい。そんな気持ちで私は青井くんへと近付いた。



「あっ青井くん!」

「…?あ…原さん」

「さっきの、どういうつもり?」

「さっきの…?」

「コーヒー!打ち合わせ中に!すっごい甘いの入れたでしょ!」

「あー…」

『3番線、ホームに電車がまいりますー…』



そういえば、と彼が頷くうちにホームへとやって来た電車。ところがそれは今朝の電車同様に人がぎゅうぎゅうに乗り合い、大混みの満員状態だ。



「な、何でこんなに混んでるの!?」

「あー、そういえば人身事故でさっきまで電車止まってたから…」

「そうなの!?」



人身事故で待たされた人たちが押し合い乗るその電車に、思わず乗り込む足は躊躇われてしまう。


 
< 48 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop