ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
同じく帰路につく人々の中でも、頭ひとつ抜けている大きな彼。それに加えどこか近寄りがたい雰囲気もあり、余計に目を引く。
青井くん、目立つなぁ…。
「…、」
見つめていると視線に気付いた様子の彼は不意にこちらを見た。向けられる、ぼんやりとした素っ気ない瞳。
いつもなら何も言えないけれど、さすがにあんなことをされた後では一言くらい言ってやりたい。そんな気持ちで私は青井くんへと近付いた。
「あっ青井くん!」
「…?あ…原さん」
「さっきの、どういうつもり?」
「さっきの…?」
「コーヒー!打ち合わせ中に!すっごい甘いの入れたでしょ!」
「あー…」
『3番線、ホームに電車がまいりますー…』
そういえば、と彼が頷くうちにホームへとやって来た電車。ところがそれは今朝の電車同様に人がぎゅうぎゅうに乗り合い、大混みの満員状態だ。
「な、何でこんなに混んでるの!?」
「あー、そういえば人身事故でさっきまで電車止まってたから…」
「そうなの!?」
人身事故で待たされた人たちが押し合い乗るその電車に、思わず乗り込む足は躊躇われてしまう。