ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「…原さん、少し寝れば」
「ううん、へーき…あとちょっとだし」
閉じてしまいそうなその目を必死に開いている、そんな姿は夜更かししようと頑張る子供のようで可愛い。けどやっぱり、仕事にはならないと思う。
止めてあげたいとも思うけど、でも本人はやると言っているわけで…どうするべきか、考えた。
「…、」
けれどその時、やはり彼女は限界だったらしく、うとうととしていたその頭は勢いよくガンッ!と音を立てデスクに叩きつけられた。
うわ、痛そう…。
普段なら痛みに泣くかもしれない、それくらいすごい音を立ててぶつかったにもかかわらず彼女は動かない。寧ろ『すー…』なんて、安らかな寝息まで聞こえてきた。
…だから寝ればって言ったのに。
仕方なく椅子から立ち上がり、部屋の隅の仮眠用ソファへ運んであげようと手を伸ばすものの、触れることに一瞬躊躇う指先。
思い出すのは、日頃よく見る驚いたり怖がったりする彼女の表情。
いちいちあんなに驚かなくても、とも思うけれど彼女より遥かに大きい自分の手を見ては、そりゃあ驚きたくもなるかと納得出来てしまう。