ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「…これ?」
「う、うん。上にしまっておく派なんだね」
「下だといちいち屈まなきゃいけないから」
私を流し台と自分の間に挟む形で立つ彼は、鍋を手渡してこちらをじっと見る。
「どうかした?」
「今日は『ひぃ』って言わないんだね」
「へ?」
「いつも俺が後ろにいると、変な声あげるでしょ」
「えっ!」
確かにびっくりして『ひぃ!』って言うこと多いかも…!覚えていたんだ…恥ずかしい。
無意識にあげていた声とはいえ、指摘されると恥ずかしい。鍋を受け取り照れる私に、長袖のTシャツとスウェット姿の青井くんは先程倒れたとは思えないくらいいたって普通の顔のまま。
「…俺、そんな怖い?」
問いかける瞳は、正面から私を映す。