愛を知らないあなたに
ドクドクと、心臓が音を立てる。



なんで・・・どういうこと・・・・・・?





もやもやとした黒雲が、あたしの心に垂れ込める。







―――綺麗な女(ヒト)だった。


いや、美しいと言うべきか。




小さな顔は綺麗な美白。

切れ長の目は涼やかで、漆黒の瞳はキラキラと悪戯っぽく輝いている。

胸は豊満で、脚はすらりと長い。

艶やかな黒髪は腰くらいまであるのに、痛みなんてどこにもない。

唇は、紅くて、ぷっくりとしていて・・・。




誰、なんだろう。


もやもやが、心の中を埋め尽くす。



どうして、こんな、こんな、美しい方が・・・・・・







琥珀様の腕に、腕を絡めているの?



まるで、恋人のように・・・。





ドクドクと、心臓がうるさい。




< 209 / 377 >

この作品をシェア

pagetop