いちごパンツのポートレート
「ぷっ」
「人が心配してるのに何笑ってんだよ」
「だって私、家出してないし、ちゃんと許可貰って家出て来たし
うちの家族に騙されたんだね……たちの悪い家族でごめんね。
学はもう帰っていいよ」
学は黙ってまま動く気配もない。
「ねぇー聞いてる学?」
「あぁー聞いてるよ」
ムスッした表情のまま返事をしてきた。
「学は年明けたら社長の家に引っ越すの?大変だねぇー
最後の奉仕だと思って手伝うからね
じゃあ引っ越し決まったら連絡してね」
そう言いながらドアに向うが学は動かない。
「何勝手に最後とか言ってる訳?俺が解放するっていつ言ったよ?」
この男は何を言っているのか?
「はぁ?
あんた結婚するんでしょ?
結婚しても私のこと下僕としてこき使うつもりだった?
そんなの奥さんに失礼でしょ。私だって迷惑だし……
もう写真の事とかどうでもいい。
そんなに人に見せたかったら社内報にでも何でも投稿すればいい
だから……私はもうあんたのいいなりにはならない」
酔いに任せた言葉だったけど……
間違いなく私の本心だった。
結婚した学の傍で今までのように過ごすなんて私には出来ない。
出来る事なら支社への異動を願い出たいところだ。