いちごパンツのポートレート

「ぷっ」

「人が心配してるのに何笑ってんだよ」

「だって私、家出してないし、ちゃんと許可貰って家出て来たし

うちの家族に騙されたんだね……たちの悪い家族でごめんね。

学はもう帰っていいよ」

学は黙ってまま動く気配もない。

「ねぇー聞いてる学?」

「あぁー聞いてるよ」

ムスッした表情のまま返事をしてきた。

「学は年明けたら社長の家に引っ越すの?大変だねぇー

最後の奉仕だと思って手伝うからね

じゃあ引っ越し決まったら連絡してね」

そう言いながらドアに向うが学は動かない。

「何勝手に最後とか言ってる訳?俺が解放するっていつ言ったよ?」

この男は何を言っているのか?

「はぁ?

あんた結婚するんでしょ?

結婚しても私のこと下僕としてこき使うつもりだった?

そんなの奥さんに失礼でしょ。私だって迷惑だし……

もう写真の事とかどうでもいい。

そんなに人に見せたかったら社内報にでも何でも投稿すればいい

だから……私はもうあんたのいいなりにはならない」

酔いに任せた言葉だったけど……

間違いなく私の本心だった。

結婚した学の傍で今までのように過ごすなんて私には出来ない。

出来る事なら支社への異動を願い出たいところだ。



< 33 / 161 >

この作品をシェア

pagetop