好きな人のお母様に恋心がバレました


週末。
なんとなく早起きをして、なんとなくシャワーを浴びて、
なんとなく化粧を入念に施し、なんとなく小綺麗な服を着た。



そう、別に、
早百合さんのメールは関係ない。
ただ単にそういう気分だっただけーーー



「……って言い訳下手くそかいっ」



自分に突っ込んだ後で、あああ〜とひとり悶絶する。
いいのだろうか。
こんな、乙女ゲームの攻略本を手に入れた、みたいな。
進まないボス戦に必須のアイテムを手に入れた、みたいな。
三国志に例えたら諸葛亮を手に入れた劉備、みたいな。



無駄なことを考えているうちに刻一刻と映画の時間は迫る。



一度、
鏡を見て。
普段より少し可愛い自分がいて。



見てもらいたいと望む人がいる。



「………ちょっとくらい、ズルしても、いいかな」



どうせクッキーだって渡せてない。
先輩に会えるかどうかも定かじゃない。



どうせ駄目元。
そもそも私は物語が始まってからまだ一歩だって踏み出してはいないのだ。



「………まずは、最初の一歩、だよね」



オシャレして外に出る、
そしてあわよくば先輩にぐーぜん出会っちゃう。



それが私の第一歩ってことで。



「兵法(攻め方)はわかんないんだから、今日くらい諸葛亮(早百合さん)の力、使わせて頂きます」



ぺこりと早百合さんがおわしますであろう方向(適当)にお辞儀をして、私は闘いに一歩前進したのだった。


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