好きな人のお母様に恋心がバレました


「栄兵美麗……えひょう……めひょう……ああ、女豹なんだ……」



ブツブツと塩谷さんが教えてくれた名前を繰り返す。
確かに今朝、毎週月曜日恒例の朝礼会で紹介されたのだ。
ちょっとキツめの化粧だけど、派手で綺麗な人だとその時は思ったんだけども。



「あんなにベタベタするなんて羨ましすぎるんですがああああ!」



ゴンゴンと近くの壁に頭を打ち付けるも、目の前の男は至って冷静に仕事の内容しか口にしない。
いや、業務中なのだから当たり前か。



「宮戸、それ刷り終わったらホチキスして第二会議室な。
あと今月の社内広報、宮戸の当番だから週末には下書き提出して」



「……うす」



「……あと、そんな心配なら朝霞の代わりにお前を栄兵さんの指導係に推しとくけど?」



にや、と意地悪く笑う男を軽く睨む。



「結構です。自分が誰かに指導出来る程の実力も余力もない事は、私が一番よく分かってるんで。
女豹さんのことは……確かに、気になりますけど…」



「女豹さんじゃなくて栄兵さんな」



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