好きな人のお母様に恋心がバレました
ごくり、と唾を飲んで私は一歩前に出た。
コピー機のホチキス留めはとりあえず保留だ。なんならいまだにガショガショと物凄い勢いで紙を排出し続けるコピー機ごと放置だ。
一歩一歩と二人に近づいていくたびにきっと私の足元からは憎悪の火が立ち昇っていることだろう。
うらやまけしからん女豹にはこの百戦錬磨の私がガツンとーー!
「朝霞、昼メシ行くぞ。
栄兵さんは悪いけどそこの宮戸のホチキス留め手伝ってやって。
そんで終わり次第、宮戸が食堂案内してやれ。二人でやれば五分もかかんないだろ」
「塩谷……!」
朝霞先輩に救いの手を差し伸べたのは、塩谷さんだった。
そして朝霞先輩はまるで聖母マリアが現れたかの如き瞳で救世主たる塩谷さんを見つめている。
ーーなんだこれは。
横から完全に朝霞先輩を奪われて、私と、なんなら女豹もポカーン状態である。
塩谷さんはチラリとこちらに目を向けたかと思うと
一歩遅いんだよバーカ、と口パクだけで私に伝えた。
(し、塩谷さんなんか嫌いだ!!)
本当だったらその朝霞先輩からの羨望の眼差しは私が一心に受けるはずだったのに!
しかも女豹からの冷たい視線が何故か私に突き刺さってて
ああ、そういえば体良く女豹を押し付けられただけなんだなあ、と塩谷さんをますます私は睨むのだった。