好きな人のお母様に恋心がバレました
相変わらずの、長めの前髪、地味な風貌。
身長だって平均的だし、特別痩せてるわけでも筋肉質なわけでもなく。
それなのに、ただ、この目の前の男が貴方だというだけで
たったそれだけで私の心臓は忙しなく脈を打つのだ。
もうどうしようも無かった。
私はこの人が好きなんだと思った。
須藤先輩の言うとおりだ。
これは自分で制御できる感情じゃない。
優しい所が好きだったのかもしれない。
話して楽しかったことがきっと好きになったキッカケなんだろう。
でももうそれだけじゃ説明できない感情が確かにあるのだ。
ただ、この人のことが知りたいと思った。
冷たかったり、汚かったり、先輩に私の知らない顔が数え切れないほどたくさんあるのなら、
それをひとつひとつ知っていきたい。
幻滅するかもしれない、呆れるかもしれない。
けれどそれなら尚のこと、私は貴方という人を覗いてみたい。
「……お疲れさまです。一人一枚ずつクジを引いていって下さい」
私の顔を見てゆるりと目を逸らした朝霞先輩に、
私はクジを差し出した。