背徳の薔薇



ロールケーキが入ったかわいらしい紙袋を下げて帰宅したが、美樹はいなかった。

「どこに行ったんだろ」

リビングでネクタイを緩めていると、まもなく美樹が帰宅した。

美樹は、普段ならいるはずのない時間に帰宅していた僕に少し驚いたようだったが、僕も着飾って美しくなった彼女を見て、ほんの一瞬だけ言葉を失ってしまった。

「おかえり。早かったね」

「うん。仕事が早く終わったんだ。美樹は、どこか行ってたの?」

「うん。同級生とちょっと」

「そっか」

美樹はそれだけ言うと、僕の前を通り過ぎて2階へ向かった。

その時だった。

僕は確かに感じた。

甘い、薔薇の香り。

はっと階段を上る美樹を見上げた。

美樹は、振り向くことなく部屋の扉を静かに閉めた。





fin


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