虹色の流星
 南戸健家…
 彼の名前が刻まれた看板が立った。
 今から、大好きな健のお葬式が始まる…
 お葬式なんてしたら、健がいなくなっちゃう…
 あたしは、必死に止めようとした。
 健が骨になるなんて考えたくなかった。
 でも、健のお父さんが言った言葉に納得するしかなかった。
「美月ちゃん、健の存在が消えるんじゃない。私たちの心の中にずーっといる。そのためのお葬式なんだよ…みんなが健の存在を忘れないようにするために…健だって悲しいよ、こんなかわいい子おいて行っちゃうんだから。だから、美月ちゃんが健の分も生きなきゃ!健もそれを祈ってるよ…」
 そんな風に言われたら、いいって言うしかないじゃん…
 
 お葬式が始まって、1時間後…
 健は、空に、星になった。
 でも、あたしの心には、大きな穴があって…
 一生塞げないんじゃないかってくらい大きな穴があって…
 健じゃないと、塞げない…
 健が近くにいないと、あたしじゃない違う人になった気がして…
 気付いたら、いつもの溜まり場にいた。
 溜まり場の隣は、学校だから…
 昼間の学校に、制服で入って、屋上に行った…
 健の近くに行くために、ここから空に旅立とうとした…
 
 でも、そのおかげで君に逢えたんだよね?
 健を忘れられない、君の事が好きじゃなかったあたしを大切に大切にしてくれた…
 なんで、あたしなんかに手を差し伸べたの?
 ほかの子もいるじゃんなんて思ってたんだけど、そんなのあたしが決めることじゃないしね…
 今なら、言えるよ…
 流星、あなたに逢えてよかった…
 これからもよろしくね…
 健、健のおかげで健の次に大切な人…
 うんうん、健と同じくらい大切な人ができたよ…
 ありがと…
 奈々子、あたしを助けてくれてありがと…
 

 こんな風に考えるようになるなんて、この時のあたしは思ってもいなかった…

 
 

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