繋いだ手を

一日の講義が終わったら夕食と入浴、午後九時には消灯して就寝。



だけど、あくまでも新入社員だけ。
総務課メンバーは一日の報告と打合せを済ませた後、ようやく入浴することができる。



新入社員と同じ、一階の大浴場へ。
総務課だからと特別扱いなどしてくれない。



消灯した施設内を照らすのは、天井に埋め込まれた非常灯だけ。真っ暗ではないけど、施設内は総じて暗い。



ひとりで歩くのは、ちょっと怖い。



総務課メンバーのうち女性は私ともう一人、三歳年上の村主(すぐり)先輩。



二日目までは、村主先輩と一緒だったから怖くなかった。でも三日目、村主先輩は体調を崩してしまったため一人で行くことに。



男性社員は翌日のオリエンテーションの準備に追われていたため、当てにできない。



大浴場は一階の正面玄関のロビーを通り過ぎて、さらに廊下を進んだ突き当たり。ぼんやりと施設内を浮かび上がらせる小さな灯りだけが頼り。



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