ダメ男依存症候群 EXTRA

 あたしは台所で、旬のご飯の準備をする。

 旬用のお皿にカラカラとドッグフードを入れる。


 しゃがんでそうしてると、背中にのしっと重みがかかってくる。

 確認するまでもなく、シュンだ。


 しかもこれは……いつものあれだ。


 ハッハッと息を荒くしている。

 そして、腰には何か硬いものが当たる。


「ちょっとシュンー!」


 シュンは何故か少し性欲が強いらしい。


 おかしなことに、一年中こんなことをしてくる。

 決まった発情期なんてないみたいで、あたしが旬に背中を向けると、こんなことばっかしてくる。

 あ、でも発情期中はもっとすごいけど。


 でも、何故かあたしだけにしてくる。

 散歩に連れていって、他の犬に遭遇してもそんな素振りは見せないのに、帰ってきたらあたしの足にヘコヘコしてくる時がある。


 犬だからしょうがない行動ではあるのだけれど、これだけは複雑な気分。


「シュン! お座り!」

 あたしは餌のお皿を高く上げ、シュンに見せる。

 そうすると、シュンはすぐに言うことを聞いて、あたしの背中から脚を下ろし、その場にお座りする。


「待て。待てよー」

 シュンに動かないように指示を出して、シュンの目の前にお皿を置いた。

 シュンはじっとそれを見ている。


 数秒の間大人しくしてるのを確認してから

「よし!」

 と指示を出すと、シュンはすぐにお皿に鼻先を突っ込んで餌を食べ始める。


「よしよし。いい子ね」

 言うことを聞いたら褒めるようにする、という躾の仕方の通り、あたしはシュンの頭を撫でてやった。


 シュンは結構従順というのか、躾をしたら随分と扱いやすくなった。

 呼んだらすぐに側にくるし、怒るとすぐに反省する。


 最初の頃は、随分困ることもしてきたけれど。


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