青春を取り戻せ!
胆道癌のモルモットから採取した黄黒い体液をイオン交換樹脂に通したところ、白色透明に変わって蛇口から出てきたのだ。

そのイオン交換樹脂に付着している物を３日間かかって分析した。

それは胆汁酸だった。

僕はデータを持って教授の部屋を訪ねた。
そして、それを見せ、取った過程を説明した。

教授はデータを見ても、これが何だ？という顔をした。

僕は、これは胆道感染症や胆道閉塞症、胆石症などの治療に使えると力説した。

「治療には無理だろう。これのどこが胆道閉塞を直すのだ」

と、小さな声で教授は言った。

「直すのではなく、それによって起こる数々の症状、黄疸（おうだん）や胆道閉塞（たんどうへいそく）に伴う掻痒（そうよう）などに効くのではないでしょうか？」

教授はいつになく大きな声で、

「頭を冷やしなさい。確かに黄疸や掻痒に効くかもしれませんが、それでは一度体外に血液を出し、それを濾過してまた体内に戻すというカットダウン法で十分でしょう！」

「いいえ。構成分子の小さなイオン交換樹脂を懸濁用剤にして使うのです。それを水と一緒に服用するだけで作用を発現するようにすればいいと思います」

「十二指腸を通過する時に胆汁酸を吸着し、フンと一緒に排泄させるという寸法かね？」

「はい」

「少しはいいかも知れないけれど、安全性は確立してないし、…私は胆癌になっても、そんな繊維を飲むのは御免だね！」

凄いショックを受けていた。
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