青春を取り戻せ!
目を見開いたまま、コックリしていた。
…どうもそれは、検察側がこの日のために温存していた切り札のようだった。
*
遂に判決の日がやってきた。
裁判長が立ち上がった。
否応なしに運命の瞬間がやってきたのだ。全ての目が壇上に釘付けにされた。
重々しく判決文が読み上げられはじめた。
「犯行は短絡的で自己中心的要素が強く………」
結局、懲役十二年(求刑・同十八年)となった。
犯行は短絡的で……からはじまった文章のわりに、刑が軽かったのは、被告(僕)の知能程度から見て証拠隠滅や偽造、死体遺棄などの策を労さなかったのは、既に事件の反省をしていると考慮してくれたのだそうである。
でも本当は、あれだけ証拠を突き付けられても、罪を肯定しなかったことと、検事がこじつけた動機(※痴情のもつれから凶行に及んだ)に、裁判官は数パーセントの疑問を持ち、それが求刑に比べて軽い刑となったのではないかと思えた。
いま僕は、判決はもとより、愛する未美に裏切られたという事実に打ちのめされていた。
愛も失い、仕事(研究)も失い、この世で僕のことを信頼してくれる人も、心のよりどころも何も無いという事実が大きくのしかかり、全てのものに気力を失っていた。
上訴する気力も失く、僕は一審の判決を受け入れた。
*
…どうもそれは、検察側がこの日のために温存していた切り札のようだった。
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遂に判決の日がやってきた。
裁判長が立ち上がった。
否応なしに運命の瞬間がやってきたのだ。全ての目が壇上に釘付けにされた。
重々しく判決文が読み上げられはじめた。
「犯行は短絡的で自己中心的要素が強く………」
結局、懲役十二年(求刑・同十八年)となった。
犯行は短絡的で……からはじまった文章のわりに、刑が軽かったのは、被告(僕)の知能程度から見て証拠隠滅や偽造、死体遺棄などの策を労さなかったのは、既に事件の反省をしていると考慮してくれたのだそうである。
でも本当は、あれだけ証拠を突き付けられても、罪を肯定しなかったことと、検事がこじつけた動機(※痴情のもつれから凶行に及んだ)に、裁判官は数パーセントの疑問を持ち、それが求刑に比べて軽い刑となったのではないかと思えた。
いま僕は、判決はもとより、愛する未美に裏切られたという事実に打ちのめされていた。
愛も失い、仕事(研究)も失い、この世で僕のことを信頼してくれる人も、心のよりどころも何も無いという事実が大きくのしかかり、全てのものに気力を失っていた。
上訴する気力も失く、僕は一審の判決を受け入れた。
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