ここにいるよ
「あのね…」

一樹なのに何で緊張?

言葉がつまる


「何だよ…」

「私ね!」


やっとの思いで言おうとしたら


ブルルルッ……

ポケットで携帯がバイブした


もう…誰よ…

せっかく言おうとしてたのに〜


渋々携帯の画面を見ると、すぐに電話に出た


!!!



『忍!?』

『出るの早いよ〜ってか、おはよ…渚ちゃん♪』


///

///

受話器から聞こえるのは忍の優しい甘い声


一瞬で全身が脈打つ

この人が私の彼氏

ずっと好きだった人


『今朝、やっと飯島さんから携帯返してもらったんだ、1番に渚ちゃんの声が聞きたくて電話しちゃった♪ってか、今、大丈夫?』



興奮してるのかテンションが高い忍


『うん…大丈夫だよ』

私も嬉しくて舞い上がる気持ちを何とか押さえる



『明日からまたロケで沖縄なんだ…』


忍は、少し淋しそうに呟く

『そっかぁ…人気者だからしょうがないね…』


会いたい

本当は今だって会いたい

でも付き合えるだけ贅沢なのに

これ以上、望んではダメなんだよ



『……寂しくないの?』

『え…』

『俺は寂しいんだけど…』


受話器の向こうで忍がへこんでる光景が目に浮かんだ
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