ここにいるよ
「今日、忍に会うの?」

「うん」

「そっかぁ〜よかったね」

「うん」


気持ちが高ぶり里子に勢いよく抱き着いた


「ちょ、ちょっと!渚」


嬉しくて涙する

嬉し涙ってこんな風に出るんだね


里子に抱き着いたまま涙を拭った



ふと、廊下を見渡すと一樹がいなかった



教室を覗くと一樹は男子に囲まれて話してる


ケラケラ笑って楽しそうに


「何か一樹ってば、今日冷たい気がする…」


いつもなら話の途中でも最後まで待って聞いてくれるのに


今日は素っ気ない気がした



「ん〜、まぁ〜一樹も色々あるんじゃない?」


「色々って?」

「うーん、とりあえず一樹は大丈夫だから渚はデート頑張ってきなよ」


「うん…」

里子は一瞬言葉を濁した


だから余計一樹の事が気になる


でも放課後になれば忍に会えるんだ……と思うと頭の中は忍一色になった


あ〜

授業なんかどうでもいいから早く放課後にならないかな


早く会いたいよ


そわそわする気持ちを押さえて教室へと戻ると携帯を見ながらニヤニヤする


気持ち悪いって思われても気にしない


だって嬉しくて気持ちが溢れそうなんだもん


押さえらんないよ!
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