ここにいるよ
終了チャイムが校内に鳴り響く
同時に帰り支度をする音も聞こえる
私もせっせと帰る支度をする
鏡をかばんの奥から取り出し髪チェック
せっかく、頑張ってクルクル巻いたのに体育があったせいでヘナヘナに原形も失くなってる
どうしよう…
最悪だよ
こんなんじゃ会えないよ
どうにかして直そうとクシを片手に悪戦苦闘
それを見兼ねたのか里子が近寄ってきた
「ほらっ、やったげるから大人しくしなっ♪」
里子が髪をいじり出した
………
………
「里子…良い匂いする」
あまりにも近いから何か甘い匂いがした
「あ、本当?これ、私が今お気に入りブランドの新作香水なんだっ!いいでしょ?」
「うん…なんかイチゴの甘い匂い…」
里子って大人っぽいんだよね…
パッチリ二重の大きな瞳に生まれつきの茶色い髪
髪も自然にクルクルして自分を卑下したりしない強い意思は私の憧れそのもの…
「らしくないかな〜?」
「え?」
手際よく動く手を止めて聞いてくれた
「朝からオシャレなんかして無理してる様に見える…かな?」
「全然!好きな人の為に努力する渚は素敵だよ!自信持って…」
「里子…」
「ホラッ、出来たよ」
「ありがとう…」
鏡を見ると、私よりも断然上手い
緩く巻いた髪を耳の辺りから二つに結んでくれた
「あっ、ちょっと待って」
ポーチから口紅を取り出すと私に塗ってくれた
…………
…………
鏡を覗くといつもと違う私がいた