桃色初恋、甘口キス
「あのね……?」
小さく控えめな音を立てて開かれた教室の入口。
そこにいたのはあたしの予想通り、愛ちゃんだった。

愛ちゃんは、物静かで真面目なあたしの親友。
いつも決まった時間に登校して、そっと教室のドアを引く。

隣の席の黄原とのバカ話に区切りをつけて、あたしは手を振った。

「愛ちゃんおはよっ!
今日もきっかり、正確だね!」

さっすがぁ!

笑うあたしに、小さく手を振り返しながら駆け寄ってくる愛ちゃん。
小動物みたいでとってもキュート。

細身で小柄な体型と、お人形さんみたいに整った小さな顔。
愛ちゃんは、正に女の子って感じの女の子。

あたしとは大違いだ。
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