桃色初恋、甘口キス
「えっと、そうだね、その……」

あたしはたじろいでしまった。

「うみちゃん……。
もしわたしに遠慮してるとしたら、怒るよ?」

「え?」

「うみちゃん、わたしね?
昨日一人でよく考えて、気付いたことがあるの」

「な、何……?」

愛ちゃんが食べかけの弁当を膝の上に置いて、あたしをじっと見据える。
あたしも、弁当を自分の横に、お茶と一緒に置いた。

「わたしと緑木先輩の恋って。お互いに憧れだったんだよ」

「憧れ……?」

「そう。恋への憧れっていうか。
恋に恋してたっていうか」

愛ちゃんは言葉を選びながら、続ける。

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