桃色初恋、甘口キス
「す、好き……。
でも、本当にあたしでいいのか……」

愛ちゃんが考えたように、あたしも昨日、混乱でぐるぐるする頭を抑えて、考えた。

あたしは最初、緑木先輩が好きだった。
でも、時間を重ねるたびに、心を占める割合が、緑木先輩よりも黄原が多くなっていたことに、気付いた。

それから、自分でも気づかないうちに、緑木先輩から黄原へと、気持ちが移っていたみたいだった。

考えて考えて、そう認識したのは昨日の夜遅くだ。

愛ちゃんが、恋への憧れだった、と言っていた。
あたしも、緑木先輩への想いは憧れだったのかも知れない。

そんなあたしを、黄原は気持ちを知りながらも支えてくれた。
本当に優しく。

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