桃色初恋、甘口キス
「すみません……」

大人しく席に着く。
はぁ、やってしまった……。

黄原のせいだ。
今日はもう話しかけられても返事なんかしないし目も合わせない。
うん、決めた。

黄原を視界に入れないように、じっと黒板を見つめる。

少し遅れて、黄原も席に着いたようだった。
ガタガタと椅子を引く音が隣から聞こえた。

気まずいまま過ごした4時限目が終わって、昼休み。
あたしと愛ちゃんは、お弁当を持って中庭を目指していた。

風が心地よく吹く中庭は、あたし達のお気に入りの場所。
特に秋の今の時期は気持ちよく過ごせるので、天気が良ければ中庭でお昼を食べるのが定番だ。

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