桃色初恋、甘口キス
彼女の可愛い困り顔は、思春期男子には刺激が強いんだろう。
近くにいたクラスメイトの男子達が、頬を赤く染めている。

あたしはよくわかっていない様子の愛ちゃんに、必死にそう言い聞かせた。

「青葉さ、桃瀬さんの半分で良いから可愛さ持ってれば良かったのにな。
頼もしさばっか増して」

隣の席からからかう声。
あたしが可愛くないことくらい、あたしが一番知ってるってのっ!
 
「うるさい黄原!
お前こそバカ話ばっかしやがって鬱陶しい!
緑木先輩の半分で良いから、爽やかさを身につけろ!」

「二人は相変わらずだね」

あたし達のいつものやりとりに、心細そうな顔をしていた愛ちゃんが、くすくす笑った。
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