桃色初恋、甘口キス
「立花さん、ここでバイトしてるの?」

「あ、うん!
バイトっていうか、お手伝いっていうか。
あそこにいる人、あたしのお母さん。
で、この上があたしの家」

立花さんは指を右やら上やらに動かしながら、そう言って笑った。
そうか、ここは立花さんの実家なんだ。

「立花さんの実家だって、知ってた?」

「いや、知らなかった」

席について、向かい合って座る黄原に聞いてみる。
黄原も知らなかったんだ。
気になってた喫茶店が、同級生の実家だったとは、と意外そうな顔をしている。

確かに意外だな。
あ、黄原とは違う意味で。
立花さんはのんびりな性格だし、バイトしてるイメージなかったなぁ。
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