桃色初恋、甘口キス
「いらっしゃい、じゃないだろ。
机の上にノート忘れて帰るんじゃないよ。

お前明日、世界史当たるぞ?
予習して書いとかないと、致命的だろ」

わ、と明らかに嫌そうな顔をして、差し出されたノートを受け取る立花さん。

「そうだったぁ。
やだなぁ、世界史……」

「お前、苦手だもんな」

瀬田君は自然な動作で、立花さんの頭を撫でた。

「教えてやるから」

「う、うん……」

不安そうに見上げる立花さんに、瀬田君は優しく微笑んだ。

「あら瀬田君!
美空、休憩でいいわよ。
今忙しくないし」

勉強教えてもらいなさい?
立花さんのお母さんだと言う喫茶店のご主人は、二人に笑いかけた。

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